欠陥マンション記録
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三交不動産欠陥マンション紛争記
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財産上の利益
【事案】

本マンション売買契約において、三交不動産側には、


同物件契約書

第13条(アフターサービス:重要事項説明にて説明)          

第15条(危険負担:毀損の場合(減尽【全くなくなること】とまでは言いがたい場合)には三交不動産が当初の設計どおりに修復して引渡す)

第16条(瑕疵担保責任等:隠れた瑕疵に対して2年間、構造耐力上主要な部分又は、『雨水の浸入を防止する部分』においては、10年間保証)等


から契約上右の債務が存在し、また、JSCAの指摘を受けた現時点においての同社の見解では、本マンションに対して「商品の品質が確保されていない」としている。

撓みに関する「支保工撤去後、長期荷重により撓みが徐々に進行したものが考えられる」というJSCAの見解及び他の見解から、本物件においては、販売以前の施工段階から瑕疵の根本的原因等が発生しており、それによりほぼ全住戸において様々な不具合等が発生している。

そこで、多数の住民らは、契約上有する右の債権に従って、入居初期の段階から不具合等の指摘(多くの住民が、床の音や不快感などの問題点を指摘)、その不具合箇所への補修の督促【促すこと】などを再三、おこなっていたが、これに対して、同社職員らは「湿度の問題や乾燥収縮ひび割れ」などの説明をおこなった上で、現時点においては補修の必要性がないことを住民らに対して強調し、同社職員らの説明又は、瑕疵等の事実への同社職員らの緘黙【黙ること】等により、多数の住民らは「安心し、他に適切な措置等を講じる必要性がないもの」と錯誤に陥り、以って住民らは、補修完了等の押印をした。

その結果、本物件のほぼ全住戸において、無数の亀裂の発生・進行、及びスラブの撓みの進行などの被害が拡大した。


以下、本論に入る。



【問題の所在】

刑法246条2項は、「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた」ことを要件とする。
『財産上の利益』とは、財物以外の財産的価値のある利益の一切であり、例えば、「債務【契約上しなければならないこと】の免除を承諾させる行為」、「債務の弁済の猶予」、「履行【契約上しなければならないことを行うこと】の延期」などが財産上の利益にあたると解されている。

判例においても債務者【契約上の請求に応じなければならない人】が、債権者【契約上の権利を主張できる人】を欺罔【人を誤信させる行為】して債務免除を受けるなどによって、債務を逋脱【免れること】して財産上の利益を不正に得る場合、すなわち、債務の履行や債務の弁済の一時猶予などが、財産上の利益にあたり、2項詐欺が成立しうると解されている。(大判明治44年・大判大正12年・最決昭和34年)

ここで問題となることは、「債権者に債務免除の意思表示をさせた」こと、言い換えれば、「債権者に明確な処分行為」が認められるか、ということであるが、この点に関しては、近時の判例の趨勢は、厳格な立場をとり、以下のように解している。

「被告人は、リンゴの仲買を業とする者であるが、Aに対し、リンゴ「国光」500箱を売り渡す契約をし、その代金を受領しながら、履行期限を過ぎてもその履行をしなかったため、Aより再三の督促を受けるや、その履行の意思のないのにAを五能線鶴泊駅に案内し、同駅でBをしてリンゴ422箱の貨車積みをなさしめ、これに上越線沼田駅行きの車票を挿入せしめ、恰もリンゴ500箱を沼田駅まで発送の手続を完了し積み荷を待つのみの如くAに示してその旨同人をして誤信させ、Aが安心して帰宅するやその履行をなさずよって債務の弁済を免れた」という事案(最判昭和30年)において、第1審判決は、右のような犯罪事実を認定し、被告人に対して詐欺罪の成立を認め、原判決もこれを是認した。しかし、最高裁は「すでに履行遅滞【債務不履行=期限が過ぎても、しなければならいことをしないこと】の状態にある債務者が、欺罔手段によって、一時債権者の督促を免れたからといって、ただそれだけのことでは、刑法246条2項にいう財産上の利益を得たものということはできない。」としている。



しかし、本判決は、以下のように続く。


「債権者がもし欺罔されなかったとすれば、その督促、要求により、債務の全部または一部の履行、あるいは、これに代りまたはこれを担保すべき何らかの具体的措置が、ぜひとも行われざるをえなかったであろうといえるような、特段の情況が存在したのに、債権者が、債務者によって欺罔されたため、右のような何らか具体的措置を伴う督促、要求を行うことをしなかったような場合にはじめて、債務者は一時的にせよ右のような結果を免れたものとして、財産上の利益を得たものということができるのである。」として、債権者に実質的・具体的な被害が生じたことを要求している。

また、学説においても債権の財産的価値が減少したことが必要である(平野説・西田説)と解されている。



以上の点から、本マンション瑕疵事案においては、被害者である住民らが、もし仮に同社の使用者等による同社職員及び関係者らをして(道具として)住民らを誤信させるという行為がなければ、販売当初(3ヶ月点検後以降の購入者は、同条1項の財物の交付も検討)より不完全な商品の引渡し(一部毀損・減損)という不完全な履行に対して、債務の履行請求である補修若しくは、それに代わる損害賠償などの請求、或はこれ以外の他の方法により、財産上の被害に対して何らかの具体的措置を講じることが可能であったと思われる。

また、同社としては、そのような瑕疵や不具合に対しては、直ちに住民らの督促などに応じる緊急性(特段の事情=被害が拡大した後に補修を行ったとしても、価値が減損すれば意味がないため)が存在していたことは、JSCAによる瑕疵調査等からも分明である。

本件のような事案においては、一般消費者である住民らが、専門家(同社職員ら)等の説明・緘黙等により事実を看破【見破ること】することが著しく困難であり、且つ右のような欺罔により、何らの必要的具体的措置をおこなうことが物理的に不可能であったが故に、実質的・具体的な財産上の被害が生じたという点(即時の履行請求をしなければ利益が確保できないのに、欺罔行為によりそれを妨げられ、事実、損害が発生・拡大したという点)が争点となる。


また、本件瑕疵事案は、債務者(三交不動産使用者ら)の欺罔行為により債権者(住民ら)が『債務の履行・債務の弁済の一時猶予』をおこない、以って財産上の不法の利益が発生・移転したという事実を認定しうるか、考慮しなければならない事案となる。


尚、同社の補修時における、欺罔行為に関しては、施工業者の職員がおこなったと解することも事実上可能であるが、本事案においては、むしろ、同社使用者が鴻池組の職員に対して、適切な指示をすることもなく「不作為に、結果の成否の感触を探っていた」と評価すべきであり、債権者(住民ら)からみれば、「第三者(鴻池組)をして、債務を逋脱し、財産上の利益を不正に得た」という点においては、何ら問題となるところでもない。(共同正犯、教唆や幇助の問題。)


以上のことが、同社使用者らにより、慣行のこととして行われて(黙認されて)きたか、ということが刑事上、最大の問題点となる。
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by magekiretuz | 2007-10-03 23:55 | 法律