欠陥マンション記録
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三交不動産欠陥マンション紛争記
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住の安全性
日本建築構造技術者協会(JSCA)による1次及び2次調査による結果報告から、明らかに断定されたことは、概ね、『当該マンションの耐震性に問題がないこと』と、『設計当時の建築基準法、建築基準法施行令及び国土交通省等告示に照らして妥当である』ということであり、さらに右の点をもって本マンション自体が『安全である』と結論付け、JSCAの報告に従って、建築主・売主である三交不動産株式会社は、本マンションが「安全である」ことの公表をおこなった。



しかし、本物件、床たわみの原因の1つとしてJSCAが施工上の問題である『支保工の早期撤去』を上げている以上、「同施行令及び、告示等に照らして妥当である」と同協会が断定したことについては、何をもって斯様に断定したかの因果関係が明らかにされておらず極めて不可解であり、本来であるならば、『耐震性に関しては』とか、『耐震強度上は』などと『本マンションの崩壊する危険性についての安全性』に限定した上で、一般消費者が誤信することの無いように説明・報告がおこなわれるべきであったが、同社のこのような、何ら限定しない『安全である』という報告は、右の報告を技術的・専門的知識などについて不知である一般消費者が、反復・継続的に受ければ、安易に『本マンションが安全であり何も問題がなかったのであろう』と誤信しうる可能性が高い。また、この様な同社の報告からは、経験則に照らせば、自社の商品に生じる瑕疵や欠陥・不具合に対する同社の慣行的な認識もある程度具体的に推察される。


一般的商取引において、一般消費者は、企業側から一方的にその企業の商品などの品質、内容、製造方法、などに関する情報を与えられている。従って、一般消費者は、それを信じるしかほかはない。しかし、その提供される情報が事実と反するか若しくは、正確ではないことが明らかとなれば、今後、その企業が提供する情報などについては、不信感を抱くようになる。また、他者の同様の商品についても不信感を抱くようになる可能性も出てくる。斯様な行為は「他の業者」にも影響を与える結果を惹起するため、『不正競争防止法』等により刑事処罰される結果も出てくる。



当方らも本マンションの『安全性』について、同社パンフレット等の契約に関連する資料や重要事項説明等において、同社の提供する情報及び、同社の瑕疵・欠陥に対する認識への説明等から生命・身体・財産への侵害について『安全である』などと誤信し、真実性を正確に看破することがで不可能であった。



そもそもマンションなどの住宅に関する「安全性」とはいかなるものであるか、ということについては一種の思弁的見解を述べるつもりはないが、まず、建築の観点からは、建築基準法施行令においては、「著しい変形又はひび割れその他の損傷を受けないようにする」とか「使用上の支障となる変形又は振動が生じないような剛性をもたすべき」とか明記されている。(本マンション設計時法令、建築基準法施行令第36条の2(構造設計の原則)【現、同法令第36条の3、3項】から建物は通常の使用方法に対して変形や振動等が生じないようにすること、さらに地震時等においては建築物が崩壊しないようにすること等が明記されている。これが設計に関する基本的な配慮である。また、床部分に関する施工に関しては、建築基準法施行令第76条(型わく及び支柱の除去)及び告示において、型わく、支柱の早期除去は、取返しのつかない耐力の低下となるなどの注意を促す施工上の注意規定が明記されている。


また、かぶり厚などは、『耐久性』に関する規定でもある。(耐震要素であると考えうるが、耐震性ではない)


従って、これらの文言をそのまま解釈すれば、建築基準法施行令上、変形・振動・亀裂・損傷は原則、起こってはいけないことを規定しているように解することができ「人の財産への侵害の防止」まで配慮されているように思える。しかし、この「安全性」については、実務上、『人の生命・身体』についてのみしか、配慮されていないのが現状であると思われる。


2005年以降問題となった「耐震強度偽装事件」なども、「倒壊する危険性」すなわち「人の生命・身体への侵害」が問題となった事件であり「人の財産への侵害」などは特に問題にされていない事件である。例えば、本件瑕疵事案である「床のたわみ」は変形であり、同施行令上の変形に耐え得る剛性が備わっていないことが推察される。また、床剛性の低下等は重要な耐震要素の低下ではあるが、これをもって、直ちに耐震性が欠けているというわけでもない。

この様に、建築の観点からは、『安全性の確保』といえば、マンション等が『崩れないこと』ということのみを指し、「人の生命・身体への侵害」に対する点しか配慮されていないことが国土交通省など行政の動きからも伺える。なぜなら、本マンションで生じている瑕疵や欠陥、具体的には、雨漏れや、ほぼ全住戸のコンクリート製天井の垂れ下がりなどが、本件瑕疵の程度や規模、さらにはたわみの原因の推察などをもってしても、現時点においては同社が何ら処罰されることがないからである。(もっとも、捜査や処罰には内部・外部告発などを要する場合が多いため、行政等が萎縮していることも考えうる。)

しかしこのような行政の消極性は、仮に再度、同様の事案が発生した場合、処罰されることがないため、発生したとしても何も問題とならず、同施行令や告示等が、実務上瑕疵や欠陥の再発防止への抑止力となっていないということでもある。



以上の点から本マンション瑕疵問題に関する同社の報告としては、今回の調査はあくまでも、生命・身体への安全性のみへの配慮に過ぎず、「財産への侵害は今後発生する可能性があり」、また、現行の法令並びに行政の解釈・同法令等の運用等では、何ら規制されることろはなく、「財産への侵害を防ぐことは不可能」であるため「財産への安全性の配慮は、今後もなされない」、などとするのが妥当である。




これに対し、司法の観点からは、例えば、本事案は不動産であるため本事案とは直接関連しないが、「欠陥」(←欠陥という表現は製造物責任法に明記されている)という文言についてみると、製造物責任法(注・本法律は動産に適用されるものである)においては、「人の生命・身体又は財産に係る被害」や「人の生命・身体又は財産を侵害」などという文言が明記されている。また、『建築物における安全性の定義』に関する近時の最高裁の判例(平成19年7月6日)においては、「建物は、居住者や隣人、通行人等の生命、身体又は財産を危険にさらすことがないような安全性を備えていなければならず、この様な安全性を基本的な安全性というべきである」とか「この基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと解するのが相当」などと解されており、当方も右のような見解は、妥当であると解する。

なぜなら、商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類などその商品の品質、内容、製造方法、若しくはその役務の質、内容について誤認させるような表示をする行為は、一般消費者の不信感(私的財産保護秩序の攪乱)を招く行為であり、契約の際、特段、財産への侵害に対する配慮についての安全性などが備わっていないマンション等において、その旨及び、その点に関して適切な補修などを行わないなどを説明することがないのであるならば、品質において誤認させるような行為があったと評価すことができるからである。

つまり、「財産の侵害の防止」まで全く考慮されていない商品か、財産への侵害の可能性がある商品であるならその旨を、また、損傷について補修等を行うつもりが同社において始めからないのであるならば、その旨の意思表示を同社がおこなっていれば、当方らは、本マンションの性能や品質及び役務の質等について誤信することがなかったということである。


また、本件において、最重要である争点は、同社が本件瑕疵については、製造・卸業者等から買い受けた小売店(スーパーなど)の様に「欠陥等については、認識していなかった」と主張することであろうが、この点については、本物件を引き渡した時における科学又は技術に関する知見等によって、判断するべきであって、その知見とは、たまたま同社が知っていた科学又は技術に関する知見をいうのではなく、その当時入手可能な最高の水準の科学又は技術の知見であるのが相当であると解する。




尚、一般消費者はJSCA等専門家によって、「安全である」という説明・報告を受ければ、「安心して誤信する」可能性があるため、同社の関係者への本マンション等の「安全性」の報告については、右の報告が、耐震性という「生命・身体への侵害に対する安全性」についてのみへの断定しかJSCA等専門家は責任が持てず、「財産への侵害に対する安全性」は現状、断定できないことを一般消費者に対して正確に説明する義務がある。
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by magekiretuz | 2007-10-23 00:36 | 法律