欠陥マンション記録
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三交不動産欠陥マンション紛争記
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国土交通省中部地方整備局
[参照]三交不動産欠陥マンション問題
http://www.geocities.jp/kekanmondai/

~相対的説明事項 (相対的重要事項)~

宅地建物取引業法第35条第1項本文の重要事項(第35条第1項第1号から第14号(=絶対的説明事項)以外の事項で、当該取引において【契約を締結するに際して考慮されるべき事項】や【取引の相手方の意思決定に影響を与える事項】等である。


この相対的説明事項は絶対的説明事項よりも重要性が高い場合があり、説明しなかったり、誤った説明、不完全な説明をすると契約の無効や解除原因となると考えうる。(注:説明しないことについて相当な合理的理由があれば別)

相対的重要事項 
 物理的事項(修繕) ・・・ 雨漏れ、腐食、火災、その他
 心理的事項 ・・・・・・・・・ 自殺、死亡事故、その他
 環境的事項 ・・・・・・・・・ 眺望、日照、騒音、その他
 相隣関係事項 ・・・・・・・ 近隣紛争、境界紛争、その他



3ヶ月点検時において、当該不具合などを住民らが同社に指摘していたが、それでもなお同社がその事実を告げずに一部の住民らに販売していた問題で、国土交通省中部地方整備局の今までの見解では、『同社は、3ヶ月時点では、当該亀裂等がどこの建物でもよくある乾燥収縮亀裂だと判断していたので結果的に不完全な債務の履行(不完全な補修)をしたのであり、その事実を秘匿して販売したとしても重要事項説明の相対的重要事項(水漏れ、自殺の有無等)への説明上の問題であるといいきれるものでもなくグレーゾーン(限りなく黒に近い灰色)である』としている。




この点、まず第一に当該亀裂が乾燥収縮によるものであるにせよ、アフターサービス規準に該当する不具合(長辺方向に生じる亀裂や白華現象を伴う構造耐力および雨水の浸入を防止する部分の亀裂等)であれば、不完全な債務の履行(不完全な補修)が許されるものでもないし、乾燥収縮によるものであるからといって購入者に対して当該無数の亀裂の存在(物理的事項)および補修などの事実を秘匿して、一切説明せず販売してもよい合理的な理由にはならず、むしろ、積極的に説明するべきである。


第二に、同社が3ヶ月当時、乾燥収縮であると判断にいたった意思形成過程において、例えば、さまざまな調査(かぶり厚測定やたわみ測定等)などをして当該亀裂の他の発生原因・要因の可能性を消去してゆき、最終的に考えられるものとして「乾燥収縮しかない」と断定できたという事情等がなければ、注意義務および努力義務に違反していないとは言いきれるものでもない。



第三に、法律に本来グレーゾーンはなく黒か白かであり、本件が例えば、「不法行為」を主張している事案なら、住民らに『同社の故意や過失』を立証する責任があるため民事訴訟等を要するであろうが、本事件においては、あくまでも「契約違反並びに債務不履行」が問題となっているため、住民らには、「瑕疵の存在」を証明することが課せられる。
この点、判例においては 訴訟上の因果関係の立証は、「自然科学的証明ではなく、経験則に照らして高度の蓋然性を証明することであり、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。」(最高裁昭和50年10月24日第2小法廷)とあり、この判決の趣旨は、自然科学的な証明(地球が自転、公転している・万有引力の法則等)とは違い、反論の余地があっても立証があったと認められ、医療・公害訴訟など、高度に科学的かつ未解明な点が多い領域において、一般の被害者に一切の科学的反証を許さない厳格な因果関係の立証を要求すれば、被害者の救済を完全に否定することになるため緩やかに解されているというものである。


本事件においては、同社側は、取締役社長名の文書において、「何らかの瑕疵が存在する蓋然性が高い」「商品としての品質が確保されていないと判断」としているため、これにより因果関係の立証は推定されるため、住民側の立証は終了したことになる。

これに対して、反論(反証)として同社が当該瑕疵の拡大等について、同社に「帰責性がない」ことを同社側が立証しなければならず、立証できれば、白であり、できなければ黒となり、グレーゾーンはありえないこととなる。




第四に、宅地建物取引業法第37条と35条を比較してみると、
37条には「・・・遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。」
とあり、
35条には、「・・・取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
とある。

両者の違いは『35条には、【少なくとも】(最低限)という文言と【説明をさせなければならない】という説明まで要求されているところ】である。

つまり、35条は絶対的重要事項とともに相対的重要事項を無視できないことを規定しており、また、47条(故意の不実告知、事実の不告知等)を引用するまでもなく、35条は完全な説明までもが、民法の理論「権利関係」および宅地建物取引業法、法令上の制限等を把握していると解される取引主任者に要求されているわけである。(この他に民法の知識が要求される資格としては、不動産鑑定士や司法書士などがある)

従って、当該無数の亀裂の理由が何であれ程度から考慮して、当該無数の亀裂の存在は、相対的説明事項の物理的事項(修繕)に該当すると考えられる(無数の亀裂の存在を告げていれば購入することを控えたと考えうる)ため相対的重要事項(無数の亀裂の有無等)への説明上の問題がなかったと言い切れるものでもない。




第五に、重要事項説明35条8号や書面の交付37条7号では、「解除に関する事項」が絶対的記載事項とされており、多くの説明書等の雛形においては、「売主または買主は、双方の相手方が本契約に違反し相当の期間を定めた履行の催告に応じない場合には、本契約を解除することができる」などとされているが、三交不動産の重要事項説明書および契約書には我々、買主が違反した場合にのみ、三交不動産が買主に対して解除できるとか、損害賠償の予定または違約金等で、20%相当額の違約金を請求することができると記載・説明されているのみで、売主(同社)が違反した場合等などは一切記載・説明されていないため、絶対的記載事項に問題がなかったと言い切れるものでもない。

また、本事案は、住民らの相当の期間を定めた履行の催告に対して、同社が、不完全な履行(債務不履行)を行ったものでもあるため「解除に関する事項」に記載されている事実に相手方を誤信させる要素があったと考えられる。




第六に、総務省行政管理局「行政手続法逐条解説」によれば、『処分基準を公にしておくことについては、処分の原因となる事実の反社会性や相手方の情状等を個別の事案ごとに・・・評価(し)・・・あらかじめ具体的な基準として画一的に定めることが技術的に困難なもので(あるから)・・・努力義務としている』とあり、さらに『処分基準を公にしておくことについても、これにより脱法的な行為が助長される場合も想定される・・・』としている。


この点、
宅地建物取引業法第65条には、『1.業務に関し取引の関係者に損害を与えたとき、又は損害を与えるおそれが大であるとき。』
とあるため同法65条の実質的制度趣旨は、「関係者に損害を生じさせないこと」である。本事件は、同社が本件合意書で、「引越費用・その他の諸経費、迷惑料等一切の損害賠償を含む」と明記しているため同社が住民らへの損害の発生を認めたこととなり同法65条の実質的制度趣旨に反したことになる。

しかしながら、『業務に関し』という点で、形式的に当てはまらないとすれば、本事案に類似する事案等(関係者に損害が生じる事案)に関して、今後、総務省行政管理局の示唆する「脱法的な行為が助長される場合も想定される」であろう。
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by magekiretuz | 2008-05-17 16:23 | 法律